インボイス制度とは?経理担当者の企業目線から思っている事・対策内容

インボイス制度とは?企業目線からの対策内容・意見

2023年10月より開始されるインボイス制度

主に個人事業主・フリーランスの方がこんな発言を多々されています

減収となる
増税となる

・課税事業者にしなければならない

何故ここまで話題になるかと言うと2016年時点での個人免税事業者数が

435万者(53%)

これだけの数が個人免税事業者として活動しているのでそりゃ文句も言いたくなりますよね

個人事業者の例
・農家
・漁師
・声優
・漫画家
・プログラマー
など

この内、農家や漁師には特例が存在しているのでインボイスを取らないでも大丈夫なパターンはありますが、大体の個人事業者は買い手が仕入れ控除出来ない為減収になる可能性がある

ちなみに法人の免税事業者数は77万社(9%)の割合

免税事業者の割合は約60%にも及び、課税事業者に切り替えるかの判断を迫られている


ここからが本題で僕自身とある企業でインボイス対応の真っ只中

企業目線からインボイスに対して思う事があるので変わった目線からの意見が気になる方は是非続きをご覧を

そもそも何故インボイスが悪法と呼ばれているかおさらい有り

目次

適格請求書(インボイス制度)の概要

適格請求書(インボイス制度)概要

課税売上額1千万円を超えた場合課税事業者扱いとなります(超えていなくても課税事業者になる事は可能)

課税事業者は消費税の納付義務が生じ、消費税の納付に関してさっくり説明すると以下の通り

売上時消費税 ー 仕入れ消費税 = 消費税納付額

消費税に関して例えば

A社は売上時の消費税が10,001円
B社は仕入れの消費税が10,010円

消費税の端数計算は四捨五入・切り上げ・切り捨てどれを取っても良かったので両者間で消費税の計上額に差異が生まれます

その差異を無くしましょう!として生まれたのがインボイス制度。しかし更に根本的な事を言うと免税事業者に入る消費税分の益税を解消する為に導入される

免税事業者は売上+消費税が収入となる為不平等と元々言われていました

そこでインボイスを導入する事により解消され約2000億円が国に納められる算出結果が発表されている

登録番号に関して

課税事業者に対してマイナンバー時のように登録番号という区分番号が割り振られる(申請をしなければ取得不可)

ちなみに法人番号を取得している企業は「T」+「法人番号」が登録番号となる

登録番号を取得しないと冒頭でも軽く説明したが以下のデメリットが発生

①買い手が仕入れ控除出来ない
②取引先が無くなる可能性大

買い手が仕入れ控除出来ない(収入が減るかも)

例えばフリーランスの報酬500,000円(消費税50,000円)を例として挙げるとA社⇒個人にプログラミングの報酬を支払う物とする

本来であればA社はソフトの制作費用の消費税を丸々売上から差し引けるはずだったが、登録番号を取得していないフリーランスの為消費税の控除は出来なくなってしまう

ソフト売上消費税(1,000,000円)ー 費用一式(電気代等10,000円)ー 報酬人件費(50,000円)= 消費税納付額(990,000円)

上記のように全て控除出来れば94万円の消費税納付で済むが登録番号未登録のフリーランスを雇った為に余計に5万円の費用がA社に掛かってしまう

つまりA社としてはフリーランスのせいで余計に5万円費用が掛かったので報酬を5万円値引いてくれと言われる可能性が高くなる

これが個人事業者やフリーランスの懸念要素

ちなみにいきなり全額控除出来なくなる訳では無く段階的に控除の割合が減っていく

2023年10月~2026年9月:80%控除
2026年10月~2029年9月:50%控除
2029年10月~:控除不可

取引先が無くなる可能性大

買い手が仕入れ控除出来ない

全ての原因がこれです

例えば免税事業者がダメだったら別の課税事業者の派遣やフリーランスを雇えば今まで通りに仕入れ控除が出来る

正直かなりの免税事業者は登録番号を取得してくれと取引先から言われているはず

取得しなければ契約を切るぞと言われているようなもの(実際には直接言っている業者も有り)

つまり免税事業者のままで行くと取引先が無くなる可能性が高くなり、自分が課税事業者にならなければ行けない選択を迫られている

企業目線からインボイスに対しての意見

インボイス制度 企業目線からの意見

経理担当者の意見は一言で言うと

面倒くさい!!

全ての企業はこう思っているでしょう

具体的に何が面倒なのか挙げてみると以下の通り

  1. 取引先が登録番号を取得しているか調べる
  2. 取引先が免税事業者の場合代わりの業者を選定する
  3. 適格請求書のフォーマットを作成
  4. 出張旅費精算などに関わるマニュアルの作成
  5. 社員への通知及び研修
  6. インボイスに対する学習

この中で特に問題なのが1及び2

会社の規模が大きければ大きいほど取引業者は増えるはず。僕が実際に勤めている企業もかなりの数があり四苦八苦しています

取引先と簡単にまとめておりますが正確には販売管理費に該当する項目も必要

・電気、水道、電話料などの公共料金
・事務所賃料
・事務用品費
・キャビネット、デスク等の備品
企業により様々な費用が発生

上記の例はほぼ登録番号は取得していますが、適格(簡易)請求書を発行してくれない場合は先方が登録番号を取得していても無意味

そして業者が登録番号を取得しているかどうか確認した上で当然未取得・免税事業者のパターンが発生すると当社では申し訳ございませんが取引を停止する選択を取っています

理由としては当然消費税の控除が出来ないのがつらい

自分中心な不満とはなりますが企業目線では下記の不満有り(インボイス施行を承諾した上で)

①全ての企業・個人事業者は登録番号を取得しろ
②適格(簡易)請求書を開始前(R5.10.1)より早く発行しろ
③様々な特例が分かりにくい
④立替金精算書の発行が手間
⑤そもそも既に消費税を納めてるので対象は免税事業者のみにしろ

全ての企業・個人事業者は登録番号を取得しろ

仮に全ての企業や個人事業者が登録番号を取得した場合わざわざ取引を打ち切って、他の取引先を探す手間が省ける為

相手のせいで消費税の納付額が増えるのは当社として納得出来ない

極論として免税事業者も消費税を既に納付されていたのならばインボイス制度自体が始まらなかった

適格(簡易)請求書を開始前(R5.10.1)より早く発行しろ

先方が既にインボイスに対応しているかぱっと見で確認出来る

前にも記載したが登録番号を取得しても適格(簡易)請求書を発行しなければ意味がないので問い合わせの手間が省ける

当記事が2023年8月末に作成しましたが未だ対応していない企業・個人事業者は多々いる

様々な特例が分かりにくい

特に影響がある特例はこの2つでは無いでしょうか

主に使われる特例

①公共交通機関特例(出張旅費特例)
②自動販売機・自動サービス機の特例

公共交通機関特例は一度の取引額が3万円以上の場合はインボイスが必要3万円未満の場合は不要

但し航空費・タクシー代は本来であれば3万円未満でもインボイスが必要ですが、会社の旅費規定に実費で支給するなど定めていれば出張旅費特例が適用となりインボイスが不要となる

インボイスが必要とか不要とか訳が分かりません!!

自販機特例は『機械装置のみで代金の受領と資産の譲渡等が完結するもの』に該当するとインボイスが不要となりますが該当するものが悩みます

例えばコインパーキングは一つの機械で料金の支払い等行えるので特例に該当しそうと思われがちですが、資産の譲渡等は別に行われるので対象外

なので具体的に何が自販機特例に該当するのか調べる必要が出る場合もあるので手間

もっと分かりやすく発信して欲しい

立替金精算書の発行が手間

基本的にはある企業と無い企業が分かれるかと思いますが例えば従業員が個人で備品を購入して精算する場合

立替金精算書という書類が必要となる。それぞれ分かりやすくまとめると

インボイス発行業者:Y社
立替金精算業者:A社
備品購入者:従業員O

まずインボイスの宛名は下記の通り

Y社⇒従業員O

そして本来必要であるインボイスは下記の通り

Y社⇒A社

つまり従業員Oではインボイスの条件に満たさないので立替金精算書を発行して条件を満たす必要有り

Y社⇒従業員O⇒A社

従業員Oが立替金精算書を発行して代わりにインボイスの交付を受けましたよと証拠を残すとOK

そもそも精算を認めないなど対策はありますがどちらにしろ手間が増える

そもそも既に消費税を納めてるので対象は免税事業者のみにしろ

根本的には免税事業者に対して消費税を納めさせようという施行なので元々消費税を納めている当社にしたら手間がかかるだけ

相手が免税事業者なら消費税の負担が増えるだけ

仮に国が算出した2000億円の納付がされたとしても国民の保証が約束されている訳ではないので余計にイライラする

徴収した金額を具体的に国民に対してメリットがあればモチベーションが変わるかもしれませんが・・

まとめ

インボイス制度 まとめ

・インボイスは主に免税事業者に対し消費税を納付させる為
・企業目線ならば全社登録番号を取得して欲しい
・相手方のせいで消費税の負担が増えるのはおかしい
・免税事業者は今後減収の可能性大

既に消費税を納めている企業も費用負担が増える可能性があるのはおかしいなと特に思っています

どこも迷惑を被っている政策ですが税務調査が来た際に追徴課税がされないようしっかりと準備をしましょう

僕も渋々対策をしている最中です

【番外編】インボイスに対して『個人的』に思う事

インボイス制度 個人的に思う事

今までは企業目線で意見を言わせていただきましたが個人的に思う事を述べます

現在起業をするには資本金は1円から行える

昔は有限会社なら資本金300万円・株式会社なら資本金1000万円必要でした

せっかく簡単に起業出来る政策を取っているのに、起業を躊躇させる政策を取ったのでいかがなものかな?と思う点有り

課税売上が700万円~999万円でギリギリ免税事業者を維持している方達には消費税を支払わない抜け道だ!とバッシングされるかもしれませんが、大体は費用を差し引いた利益が少ない個人事業者も多いのではないでしょうか?

誰もが簡単に商売(フリーランス含む)を出来る点が無くなってしまったので残念だと思いました

参考になったらシェア!▼
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次