これから人事部の配属となるが作業内容が不安である・・
んなもん適当にやっておけばいいんだよ!!
という訳には行かず本職は経理の中間管理職ですが実際に人事・総務関係を携わってもいるので特に大変だった点をまとめました
これから人事部配属になる方や就職を希望している方は是非参考にしてください
人事部・総務部作業内容
人事部と総務部は企業によっては同一の業務を行っている企業もあるので社会保険の加入・脱退や社宅手配等の社員に関わる内容を中心に記載します
例えば総務部が基本備品や消耗品の発注を行いますが企業によっては購買課と言った更に専門の課が存在する場合があるし来客対応も他の部が直接行ったりする場合もあるので作業内容として省略
『作業内容一覧』
①各保険の加入・脱退(社保・雇用保険)
②住民税加入・脱退
③人事異動の提案・発令
④社宅手配
⑤給与・賞与計算(勤怠管理含む)
⑥各市区町村に給与支払報告書作成
⑦人事考課
⑧労働保険申告書の作成
⑨労基対応(三六協定等)
⑩新卒採用・中途採用の手配
⑪各種証明書の発行
結構な作業内容ですが基本的には本社勤務の方が社会保険や雇用保険は一括で管理している場合が多いので、支店勤務の方は上記全ての作業をする訳では無い(各支店ごとに保険加入を行っている場合除く)
ちなみに僕は本社(本部)で一括管理しているパターンなので上記作業内容を実際に行ったりする時も(当然担当者ごとに作業を割り振ります)
人事部・総務部が大企業で苦労する点
ここは実際に作業して苦労した点をランキング形式で挙げて行きましょう
社員5000人以上の本社一括管理型の作業内容となります
ランキングに入らなくても仕事なので他の作業内容も大変な事には変わりませんのでそこらへんはご理解を
1位 各保険の加入・脱退(社保・雇用保険)
堂々の第1位は社会保険や雇用保険の加入及び脱退
これに関しては各企業が給与面や福利厚生完備などにより離職者はかなり減らせる可能性はありますが月に100人~200人前後は退職者が出るのではないでしょうか?
大企業はインターネットによる電子申請(e-Gov)もあれば未だ紙媒体での申請を行っております(個人的にはマニュアルが上手く作成出来れば紙媒体の方が楽)
紙媒体の方が離職票2を除き各職員が作成した書類をそのまま年金事務所等に持ち込めるので楽。と言っても結構間違えたりするので確認作業や直し作業で何だかんだ大変ですが
ですが・・!
毎月200回も社会保険の加入+200回の社会保険脱退=計400回の社会保険手続きに加え雇用保険の手続きも入社200回+脱退200回=計400回すなわち合計800回の作業を行う事になります
それに加え住民税の脱退作業も有り
本当は各支店ごとに手続きを行えた方が良いのでしょうが引継ぎが上手く出来ない・システムの導入費及び維持費が嵩む・全事業所の賃金が上手く集計出来ないなどのリスク管理を考えると難しいんですよね
個人的に一番担当したくない作業NO1。特に毎年4月は新卒社員が入社するので更に作業量が増えます
参考までに離職理由の最も多いトップ3が厚生労働省より発表されている(令和5年3月時)
「自己都合」による離職理由(3つまでの複数回答)をみると、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が 27.2%で最も高く、次いで「満足のいく仕事内容でなかったから」が 26.7%、「賃金が低かったから」が 24.9%となっている。男女別にみると、男は「会社の将来に不安を感じたから」が 31.0%、女は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が 27.0%と、それぞれ最も高くなっている
厚生労働省 性・年齢階級・現在の勤め先の就業形態、自己都合による離職の理由別転職者割合より
理由としては3位になりますが年々最低賃金の引き上げは行われており、特に既社員の方と新入社員で給与があまり変わらないのは不満だと実際に言われた事があります(例:神奈川県では2023年10月より時給1112円が最低賃金)
人材を確保したいなら既社員の給与見直しも必要じゃないかと個人的に思います。ちなみに僕は中間管理職なんでそんな権限無いと言われて終わるので世知辛い世の中ですよね
2位 人事異動の提案・発令
全国に支店を持つ企業の悩みで大体は僕みたいな中間管理職が行うのではなく管理職や役員が行うのではないでしょうか?
人事異動が考えられる理由としては下記の通りで必須の業務
①不振業績の支店救済
②経験値を積ませる・本社栄転
③実質左遷
④退職により人が居なくなった
個人的に④の人手不足解消の為の人事異動がメンタルがやられる嫌な仕事内容ですね
基本的には社員は人事異動が発令された場合拒否が出来ません
これを拒否出来る場合は労働契約書に勤務地が記載されていない・育児介護により離れる事が出来ない・現住所から通勤が2時間以上かかる(遠すぎる)などは拒否を出来たりしますが会社ともめると最悪解雇になります
仮に異動に合意しても異動先が激務により人が減った・職場環境が悪いなどが理由で人が減ったのでうつ病になり即退職などしたらまた新しい異動を発令しなければなりません
うつ病になると退職か傷病手当金という手当を貰いながら休職出来ますがそういった方達を見ると人事部としても心が痛いですよね・・
会社の幹部勢には皆が働きたくなるような職場を作る心掛けを持ってほしい
3位 給与・賞与計算(勤怠管理含む)
特に何もなければ基本は新入社員・退職者の入力をすれば自動計算なので苦労する点は無いが導入しているシステムによって労力がまるで違う項目となる
大企業の場合半休制度を導入している事が多く、まず有給休暇の日数管理が大変
2019年4月以降全ての企業に対し有給休暇の日数が10日以上付与している方は年5日取得義務が生じています。まだ取得していない人に向けて有給を取得するように促すのも仕事の一つ
有休5日を取得しなければ労働者1人につき30万円以下の罰金が科せられる
そして遅刻・早退・残業の勤怠管理は丁寧に打刻していれば良いが打刻もれや直行直帰の場合は手動で入力しなければ行けないので手間
次は個人個人の各種手当の確認。手当の種類が多い企業程手間がかかるので可能ならば簡素化をした方が良い
最後に昇給管理。自動で該当者が出れば良いが手動で確認している企業も多いのでは?毎年4月に一括昇給など工夫している企業も多い
僕が特に苦労した点は手当の項目ですね。担当している企業の業種のせいですが、各種手当が複雑すぎて管理が難しい事が苦労しました
4位 新卒採用・中途採用の手配
僕の企業は入れ替わりが激しい企業なので当然中途採用の人数が多いです
1位の項目でも記載しましたが毎月200人前後の入社があると考えると、書類選考や面接選考の人数は300人前後となります(月によって変動はする)
応募者への連絡・面接対応など作業量は山盛り(流石に面接等は各支店に割り振っているので本社として直接対応するのは数十名ですが)
後は新卒採用の時期が来たら非常に大変です
新卒採用の人数によりますが各学校への挨拶回り・学生への連絡・説明会実施・審査⇒一次面接⇒二次面接など企業は各学生に対して労力を割いているのを理解していただきたい
ちなみに費用も少なからず掛かっており就職みらい研究所「就職白書2020」によると2020年の新卒採用の一人平均単価は93.6万円という高額が発表されています
稀に連絡が突然出来ない学生さんが現れますが本当に勘弁してくださいね?
5位 労基対応(三六協定等)
三六協定(残業・休日出勤に関する届出)は1年に1回なので諸々の届出に関しては正直あまり苦労するような事はありません
では何故5位にランクインしたのか?その理由は労働審判です
残業代は企業によって15分単位・30分単位などにより支給と定めている場合も多いですが、この時間設定が非常に問題があります
例えば退職した元職員が労基に1分単位で残業代の未払いがあると訴えると企業は1分単位で残業代を支給しなければ行けない場合があるので職員との関係が円滑でないと訴えが多くなる事も
それならば1分単位で元から計算しろ!と思われる方も多いですが定時後に軽く話をしてたりすると簡単に1分・2分と時間は過ぎて行きます。仕事をきっちりとやった上で訴えるなら良いですが業務中トイレに行ったり多少なりとも仕事をしていない時間は発生するので個人的には15分単位でも問題無いと思うのですが認められないんですよね・・
数分単位なら面倒だから良い!という方が多いでしょうが少なからずそういう訴えをする方がいるので労基から訴えが届くとげんなりします
おすすめ勉強用書籍
人事関係の実務に非常に役立ちます
一つの書籍で育休・産休などの休職に関する勤怠処理方法や障害者雇用などの特殊例も網羅しておりこの1冊を持っているだけで大分人事関係の作業に活用出来るかと!
まとめ
・大企業は各保険の加入及び脱退業務が大変
・人事異動は基本拒否出来ない
・有給休暇の取得義務を違反すると従業員1人に付き30万円以下の罰金
・2020年の新卒採用平均コストは93.6万円
・残業代は1分単位で請求出来る
人事部・総務部の作業を楽にする1番の秘訣は社員の待遇を良くして離職を防ぐ事です
経理課として判断するならば人件費を抑えるのはとても良い事ですが結果大多数の企業は人手不足に陥ってます。そのせいで単価が割高な派遣社員を採用する為より費用が嵩む可能性大
正社員やパートの待遇が良くなれば離職率も減るはず(ホワイト企業でも離職する方はいる)なので当社を含め各企業は今一度待遇の見直しを行って貰いたいですね
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